さて、なかなかブログが進まないうち、夏学期に聴講していた授業「日本文化」が先週終わった。週2回の集中講義は、毎回、鎌倉、室町、江戸など1、2時代ずつテキストに加え、YouTubeやウィキペディアから取り出した映像や音楽をもとに、時代ごとの文化を紹介したり、縄文時代の食事レシピが登場したりした。吉野ヶ里遺跡のビデオを見せながら、卑弥呼を考証し、戦国時代で「雨月物語」の映画を上映したこともあった。しかし、現代版では、なぜかYouTubeから取られた謝罪文化が出てきて
「土下伏せ」「土下埋まり」という見たこともない所作がスクリーンに映し出され、生徒たちが爆笑していた。よほど、挙手して撤回しようかと思ったが、私の知識不足かもしれないので、苦々しい思いで見続けた。
さて、この授業で興味深かったのは、第二次世界大戦直後の進駐軍の時代だ。中学、高校の歴史科目では、それ以前の時代に時間をかけ過ぎて、戦後についてはかなりスキップして習ったが、この授業では、全314ページのテキストのうち、8ページにわたって、進駐軍がいかに混乱した日本の復興に貢献したかが綴られていて、現代史の教育に力を入れていた。もちろん、このテキストは大学生が使うものだから、単純比較はできないが、その分量が、勝ち誇った「占領する者」と早く記憶の底にうずめてしまいたい「占領される者」の意識の違いのようにも思えた。
この授業を受けながら、思い出したのが、5月に大学の近くの蚤の市で手にいれた小皿である。皿の裏の刻印は「MADE IN OCCUPIED JAPAN」。進駐軍の時代に国内で作られた皿だ。12センチ四方のその小皿の中心部には花柄が描かれているが、青色の花や絵柄からはみ出した絵の具、目の覚めるような緑色の縁・・・。雰囲気が日本向けとは違う。
焼き物の国際ルールによるのかもしれないが、刻印がMADE IN「USA」ではなく「JAPAN」でもなく、「OCCUPIED JAPAN」。職人はどんな気持ちでこの「OCCUPIED」を刻み続けていたのだろう。手書きの刻印は縦6ミリ、横10ミリに描かれ、写真を撮るのに苦労したくらい小さく、現代の刻印の基準から言えば、まるで隠すように書かれていた印象だ。
占領期は1945年から52年までだから、小皿はもう60年ほど前のもの。その間、日米関係は大きく変わった。
そして、気がつけば、今日から8月。また、終戦記念日の月がやってきた。
元気そうで何よりです!
返信削除赤いゴルフはあなたの強力な脚になっているようですね。
映像見ました!おもしろいね~。
「深い会釈」「忍者用お辞儀」「土下伏せ」「土下埋まり」はジョークだって思ってほしいのですが、映像を見た皆さんは、日本ではこういう作法もあると認識されたのかしら?
OCCUPIED JAPANの刻印。
輸出の際、義務付けられていたみたいですね。
この占領の歴史かったならば、日本は今、どんな日本だったんだろう。考えてしまいました。
この映像、日本人は何が正しくて何が正しくないか知っているから笑ってみられるけど、こっちの学生は何も知らない白紙からこの映像を見るので、危ういでしょ。やっぱり、挙手して訂正しておけばよかったかなぁ。
返信削除進駐軍時代の貴重な小皿ですが、流れ流れてやってきた我が下宿では、日系スーパーでもらった醤油袋のストックに身をやつしてしまった。
でも、本当に60年間、どこのどういう人が持っていたんだろう。