典型的な過ごし方は、友達や家族とバーベキューをして、パレードや一年間でこの日だけ許される花火を、みんなで見物することらしい。
知り合いが、パサディナでバーベキューをすることになっていたので、参加させてもらったところ、会場となった公園には目当てのグループ以外にも家族連れやグループがいたが、やはりどの集団も主役はバーベキュー。生バンドの演奏もよかったが、一帯には肉の煙と匂いが漂い、老いも若きもテーブルを囲んで肉や果物をほおばり、満面の笑顔だ。
すぐそばの水遊び場では、子供たちが水しぶきを浴びてはしゃぎまわり、それを大人たちが目を細めながら眺めていた。気候こそ全くことなれど、日本の花見を髣髴とさせるのどかな夏の一日だった。
そして夜、再びハリウッドボウル。目玉はお待ちかね、ロサンゼルス交響楽団の演奏に合わせて打ち上げられる花火である。日本の花火とは決定的にスピード感が違う。何といっても演奏がマーチなのだから。矢継ぎ早に打ち上げられ、「た~まや~、か~ぎや~」などと情緒にひたっている場合ではなかった。
会場には前回のコンサートとは打って変わって愛国精神がぎっしり詰まっていた。星条旗をあしらったTシャツやバンダナを身につけた人がいるかと思えば、友達が持ってきてくれたバドワイザーも、デザインはこの日専用の星条旗。国歌斉唱から始まり、海軍や空軍など軍隊への敬意がアナウンスされるや、会場からは拍手喝采が上がり、花火のクライマックスに使われた曲はズバリ「星条旗よ永遠なれ」。終盤、再びみんなが口ずさんでいたのも「ゴッド・ブレス・アメリカ」だった。右翼の集まりではない。ごく普通の市民が集まる人気イベントなのに、ふたを開けみればそこは「こんなにアメリカって素晴らしい国なのだ」と自画自賛する場に見えた。
花火に目を輝かせている人を見ながら、ようやくここ数日間感じてきたモヤモヤの理由が分かってきた。そのモヤモヤとは、「何でアメリカ人はこんなにフォース・オブ・ジュライが好きなのか」。日本なら建国記念日を知らない若者だっているだろうに。イベントを通じ、行き着いた答えは、この日には、アメリカ人である喜びを再確認する仕掛けが詰まっている、というものだった。
日本と違って移民大国のこの国は、多くが、自由を求め、自ら望んでこの国の一員になった人やその子孫(アフリカン・アメリカンやネイティブ・アメリカンは除く)である。普段の生活の中で、アメリカの永住権を得ようとしている外国人も日常的に見てきているだろう。アメリカ国民であることを誇りに思う土壌はある。
そこへきて、バーベキューを通じた家族や友達との語らいや荘厳な花火、街中で繰り広げられパレードやイベント・・・。楽しい記憶とアメリカ人の誇りがセットになり、この独立記念日を殊更愛するムードにつながっているように思えてきた。そしてまた、星条旗や国歌がその喜びを国民で共有する装置になっている、とも。
この国だってベトナム戦争やイラク戦争では星条旗の下、多くの人が命を落とした。国旗や国歌に違和感を感じている人だっているだろうに。彼らはこの日、どんな思いで何をして過ごしているのだろう。
マーチに合わせて矢継ぎ早に打ち上げられる花火
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