2011年7月18日月曜日

19 お楽しみは少し先

 自動車免許の実技試験に落ちた。それも、最後の最後にミスをして。実技試験では、諸々のチェック項目のうち、16ヵ所以上ミスがあったら、試験に落ちる仕組みだが、私の場合、減点は4点で結構いい線をいっているはずだった。それなのに・・・。

 試験を受けたのは、日本人の多い街トーランスの「DMV」と呼ばれるアメリカ版陸運局。近所にあるサンタ・モニカのDMVは試験官が日本人に非常に厳しく、一発で受かるのは至難の業と聞いていたので、人から勧められ、わざわざ日本人が受かりやすい街を選び、片道1時間もかけて出かけたのだった。

 ただ、予兆はあった。実技試験を教えてくれるメイさんからは、これまで運転についてかなりお褒めの言葉を頂いていたが、今日は試験前の練習で致命的なミスを3回も犯し、「どうしたの」と不思議がられていたから。自分で言うのも何だが、かなり度胸はあるので、まさか、運転免許でそんなにたじろぐとは思ってもみなかった。

 試験は受験者が持ち込む車で行われる。私の場合はメイさんの車で到着。ワイパーやウィンカー、ブレーキ、ハザードランプなど車の仕組みや手信号が理解できているかチェックされ、その後、試験官を乗せて公道を約20分間運転。道中の内容を採点され、その場で合否が下される。

その20分間は、かなり気持ちよく運転できていたのだ。しかし、DMVまで後一歩というところで、魔の「四方向一旦停止交差点」がやってきた。この交差点は、一旦停止サインが全方向についていれば、停止後、到着した車から進行するという四差路。日本にないルールで、かなり苦手だったが、練習で慣れたはずだった。

ところがである。その交差点には私が最初に到着したため、停止後、左折して、DMVへ向かおうとしていたところ、右前方から、結構なスピードを出して走ってくる車が見えた。向こうは直進、こちらは左折。そうなのだ。一瞬、日本の「直進優先」の癖が出て、向こうが停まってくれない気がして止まってしまったのだ。

交差点内で止まるのは重大なミス。こうした類のミスは1回で万事休すとなる。「交差点をもっと練習してくださいね」と試験官はにっこり笑って「Unsatisfactory」にチェックし、試験は終わった。

DMVで、ハラハラしながら結果を待ってくれていたメイさんからは、不合格を告げるや、「なんであなたが落ちるのよー」と叱られた。

その日、悔しさの余り、メイさんと別れ、DMVからバスで帰った。車窓に広がる景色を眺めながら、乗り換えで立ち寄った吉野屋でLA初の牛丼を食べ、合気道に行って心を落ち着けた。

長い目で見ればこれでよかったのだろう。すんなり通らなかったおかげで、苦手な「魔の四差路」は通るたび、苦々しい思いで注意するだろうから。

 その翌日、待ちに待ったえエクボ付きの愛車はやってきた。「みなさ~ん、ヨーコの車がきましたよ。見に行きましょう」。大家さんのその掛け声で、大家さん夫婦と最近やってきた他の日本人ルームメートが一斉に玄関扉を開けた。

 LA生活の相棒が、日の目を見るのはもうすぐそこ(のはず。今週後半に追試験)。

                「エクボ」は反対側で見えません

1 件のコメント:

  1. 赤いゴルフ、かわいいね~!
    次はきっと合格よ。頑張ってね。

    サンタ・モニカの陸運局、なぜ日本人に厳しいの?
    運転が慎重すぎるからかな。

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