ブログを始めたばかりで恐縮だが、今日、春学期に取っていた授業が終わった。
UCLAでは学部によって異なるが、原則的に授業はクウォーター(4学期)制を取っており、3月末に始まった授業は2カ月半後の今週末で終わってしまう。
私はちょうど新学期に合わせるように到着し、春から始まった大学生活を日本と同様の感覚でいたため、ようやく6月に入って生活も一段落したと思っていたのに、大学は来週から9月半ばまで長い夏休みに突入、ほとんどの学生はインターンシップや帰省で大学から脱出モードだ。
そうは言っても、オプションで設定されている夏学期のクラス(学部生なら1クラスにつき247ドル、大学院生やカリフォルニア州立大生以外なら309ドル、その他登録料要)を取る予定だが。
さて、春学期最後となった今日の授業は「世界的な労働市場と政策」。このクラスはかなりおもしろかった。もともと研究テーマに近くて選んだので当然だが、話を聞きながら何度も「授業が生きているなぁ」と感じたものだ。
4月のある日のこと。その日は中米ドミニカ共和国にある「アルタ・グラシア」という企業の特殊性を議論していたが、教授がいきなり教卓の前のスピーカーをいじり始めた。
スピーカーが登場したのは初めてで、「他の教授から授業評価でもされる日なのか」と見ていたら、いきなりプロジェクターのビニールスクリーンが広げられ、教授のパソコン映像が登場。とここまでは、日本でもよくあるプレゼンテーションの光景かもしれない。
しかし、スクリーンには登場したのはスカイプの映像。教授はライブでドミニカ共和国の「アルタ・グラシア」社に電話をかけ、同社の労働組合執行部とテレビ電話を始めた。ビニールスクリーンには2人のドミニカン女性が登場し、わずかにタイムラグを置いて「うちはシングルマザーがとにかく多いんですよね」などとスペイン語で話すのを教授が次々と英語に訳していく。
このクラスでは発行されたばかりの雑誌や本を教材にしていたので、非常に鮮度が高いデータをベースに議論していたが、スカイプという文明を駆使し、目の前に現在進行形の当事者がリアルタイムで登場するなんて、「こりゃ、日本の大学はかなわんなぁ」と思った。さらに、仰天したのはスペイン語を流暢に話せる大学院生の多さ。教授も流暢にスペイン語を話していたが、時々訳に詰まると、大学院生たちが代わりに訳していく。ついに、教授が苦笑して、「質問がある人は直接聞いてみてください」と促したところ、スペイン語で質疑応答したのは1人や2人ではなかった。11人いた学生のうち、5、6人は自由にスペイン語を操った。
確かにメキシコ移民が多いロサンゼルスでは、市中でスペイン語を聞く機会が多く、学生もスペイン語を学ぶ必要性を感じやすいが、彼らのスペイン語を聞きながら、自分の一向に上達しない英語を思い、彼らが恨めしくなった。
渡米前、「アメリカ人は世界標準の英語が母語なので他国語の学習意欲はあまり高くない」と聞いていたののに…。
スカイプが登場したのはこの時だけだったが、最後となった今日、各自のプレゼンテーション(質疑応答含め各10~15分)でも「ネイルサロンで働くベトナム移民の薬品被害」、「不法移民を留置しておく刑務所のコスト」「労働ビザの割り当て推移」など、最新データがちりばめられ、一つひとつがおもしろく、授業が終わったが本当に残念。
スクリーンに映し出されるスカイプの映像 |
11人という小クラスの授業なんですね。教材はどんなものだったのですか。
返信削除大学院の授業なんで、人数はこれくらいが妥当みたいです。他の授業も9人でしたし。
返信削除教材は、教授が毎回インターネットの掲示板にアップしてくれた関連の本や雑誌を読んでいました。